本文に埃が入るのを防ぐ役割を担い、装飾的にも美しく見せる、天のみ、または天・地・前小口の三方に金箔を接着し磨きあげることを「天金」といいます。使用する材料や作業工程は昔から現在まで、変わることなく受け継がれています。本の紙質や天候などにより、毎回施し具合が違ってくるデリケートな天金は、とても骨の折れる作業です。しかし、それぞれの本に個性があり、まるで生きているかのように感じさせてくれるものでもあります。紙の上で輝く金箔は、革の上の金箔装飾とはまた違った魅力があります。
天金の材料はテンペラ画のものと似ています。下地として、水で薄めたふのり・赤とのこ、接着剤として、卵白液を使います。メノウ棒は金箔を磨きあげるために使用します。最初の工程であるやすりがけは滑らかな土台づくりとして、とても大切な作業です。
すべてのページが均等に揃っている天小口につけるものは重厚な印象を与え、不揃いなページをそのままにのせる金箔は、動きのある本の息づかいを残しておくことを可能にしてくれます。