グーテンベルクの名前は誰もが知っていてあまりにも有名ですが、ひとたび「インキュナブラ」という言葉が出てきてしまうと、一気に専門的な雰囲気になってしまいます。そこで、今回の雪嶋宏一先生のレクチャーはまず、インキュナブラの定義からの手ほどきとなりました。
42行聖書印刷のグーテンベルクを始めとして、インキュナブラの始めから最後までを見とどけたペーター・シェーファー、活字鋳造を完成させたニコラ・ジャンソン、タイトルページを導入したエアハルト・ラートドルト、イタリック体を作りオクターボを普及させたアルド・マヌーツィオなど、雪嶋先生ご専門の書誌学の向こうに見え隠れする活版印刷の立役者たちのお話もしていただきました。
先人たちの「知」に対する志に脱帽したと同時に、今現在私たちが失いかけていた大切なことも再認識させられた講演でした。
現代人よ、Festina Lente!