恐怖の試験(前編)

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Feb 28
2013
Posted in blog, miracle world by Minako at 12:48 pm | No Comments »

第10回

「恐怖の試験(前編)」

 

春の訪れが待ちわびしい今日この頃、受験生のみなさまにはもう桜が咲いているでしょうか。
今回のミラクルワールドは2回に渡り、私が異国の地・パリで経験した、職業適性証書(Certificat d'aptitude professionnelle)獲得への試験についてお話したいと思います。

 

製本専門学校の1年目は、C.A.P.という職業適性試験を受験するためのプログラムが組まれていました。ルリユールとドリュールの授業の他にも、デッサン、本の歴史、ルリユールの歴史、フランス文学の授業が月曜日から金曜日、朝から夕暮れまでビッシリありました。本の歴史やルリユールの歴史の授業では、フランス語での書きとりが追い付かずに、発音を聞いて近しい音を片仮名で書き留めておいて、後で友達に聞いたり自分で辞書で調べたりしていました。今振り返ってみても、涙ぐまし努力を強いられていたと思います。

しかし、テストに出そうなところは先生方が色々ピックアップしてくれたり、模擬試験などもあったので、なんとなくの感覚は事前に掴んでいました。

受験するにあたって、住所などを登録するのですが、それがまた旧式もいいところ、21世紀とは思えない機械でのやり方でした。
それは初期の頃のワープロ(画面が小さくて図体は大きい。キーボードのところが全体の蓋のようになっていて開けて使うようになっている)に似ている機械で、名前や住所を打ち込んでいきます。
打ち込みは担任であるルリユールの先生がやるので、もちろん時間がかかります。街の職人である先生に、古かろうがなんだろうが、電子機器をびゅんびゅん操作できるはずがありません。ピリピリムードの中、先生との時間を過ごすのですが、偶然にもそこで先生のアトリエが私が借りていたアパートの隣だったことが判明しました。それが後に私にとって大変感謝すべきことになります。

試験は筆記と実技で構成されており、さらにちょっとした面接のような口頭質疑がありました。
通常、受験生は大体が高校生以上で、バカロレア(baccalauréat)という大学入学資格を持っており、科目の筆記試験は免除となります。
ちなみに、日本では高校生は大学入試のために勉強をしますが、フランスでは卒業するためにバカロレアに向けて勉強をします。バカロレアがあれば基本的にどの大学にも入ることができます。
しかし、私はフランスでも通用する国際バカロレアは持っていませんでしたので、英語・国語(フランス語)・数学の試験も受けなければなりませんでした。
ただでさえ、ルリユールとドリュールのことだけでも覚えることが一杯あるのに、さらにザ・受験科目の勉強もしなければいけないとは・・・。
そして、辞書持ち込みのハンデぐらい与えてくれるだろうと思っていましたが、まさかの持ち込み不可。つくづく自由・平等・博愛の国なのね、と抵抗もできず従うことを余儀なくされたのでした。

 

つづく・・・。
 



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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