ドリュール作業工程

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Mar 31
2013
Posted in blog, miracle world by Minako at 07:43 pm | No Comments »

第12回

「ドリュール作業工程」

 

春の足音が聞こえたと思いきや、寒さが舞い戻って来てしまったようで、三寒四温とはよく言ったものです。
ことわざファンとしては、つねに言い得て妙という感じで、作った昔の人は本当に賢いなぁと心底思う次第です。(小学生の頃はお風呂で数を数える代わりに、ことわざしりとりをしていました。)

今回のミラクルワールドは、ドリュールの作業工程について、サササッと説明しようと思います。
裏方の作業風景は、できればツルの恩返し的にお見せしたくはありませんが、少しでもルリユールとドリュールを身近に感じてもらうためにも、紹介する必要があると思います。

まず最初に、押すもの(モチーフやタイトル)の配置を決めます。そしてそれを本のサイズぴったりに切った下書き用の薄い紙にスタンプなどで写して、その紙を本にあてがいます。その上から「少し熱した」道具を適所に押します。
本に跡がついたな、と思ったら、紙を外し、またさらに熱した道具を跡の上にぶれないように押します。
そして、細い筆に水をつけ、跡のところを湿らせます。「ぬるからず」の温度に熱した道具をその上からさらに押して、革のシボを潰し均等に地ならしをします。
ここまでの工程を「空押し」をいいます。

そして、第2段階として金箔をつけていくわけですが、その昔は接着剤として卵白と酢を混ぜた液が使われていました。
現在は専用の液体接着剤が存在するので、賞味期限(?)を気にせずに用いることのできるそちらが主に使われています。
その「fixor」と呼ばれる接着剤を跡の溝に細筆で塗ります。そして半日~1日ほど乾かします(諸説あり)。
乾いたら金箔をつけていきます。

モチーフの大きさよりも少し大きく切った金箔を本にのせていくのですが、ただではのらないので、自分の鼻のあたりかこめかみのあたりの脂を指でちょろっと拝借して革を撫でます。するとその100%天然オイルが糊の代わりになり、うまい具合に金箔がピタッとのります。
乾燥肌で自前の脂が取れないわ、という方でも大丈夫。その場合はアーモンドオイルやハンドクリームなどでも代用可です。
しかし、思いのほかそれらは粘度が強いので、革に残ってしまうこともありますし、いちいち適量を考えながら取るのもホネの折れる話ですので、やはりメイド・イン・じぶんの天然オイルが一番よいでしょう。

「本格的に熱した」道具を箔の上から押していきます。
この時、「ねちょ」っと音がすると、道具が熱すぎるか、fixorの濃度が濃すぎるかの原因が考えられますので、道具を少し冷まします。
逆に箔が全然つかない場合は、道具の温度が低すぎるか、fixorが十分についていないことがありますので、2回目のfixorを塗り直し、道具の温度を上げます。
その後、十分な輝きが出るまで箔を重ねていきます。
なお、fixorは何度もつけるとゴムのようになってしまうので、2回でとどめておきます。

fixorの濃度や道具を熱する温度、力の加減など、なかなか言葉では説明しがたいもので、イメージもわきにくいと思いますが、箔押しの作業工程はこのような流れになっています。

色々と書きましたが、なんだかんだで終始常に気をつけなくてはいけないこと第1位は、道具を持った手がぶれないこと、そして、ココロもぶれないこと、に尽きるのでした。

 

つづく・・・。



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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