先日、本屋をひやかしに行くと、世界中の素敵な図書館を載せた写真集が目に留まりました。
写真といえども、本しか存在していない特別な空間の独特な空気と匂いを感じ取ることができました。
ということで、今回はフランスの街の図書館について紹介したいと思います。
2012年の春に、私は久しぶりに製本学校の時の友人宅へ遊びにフランスに行きました。
会えなかった空白の時間は一度話し始めればすぐに埋められ、当時にタイムスリップしたようでした。
友人はアランソン(Alençon)というノルマンディー地方の街に住んでいます。
決して大きくはない街ですが、教会があり、その周りにはマルシェも開かれていて、素敵なところです。
そして、図書館もありました。
まず最初に気づいたことは、私たちが日本で通うような殺風景な街の図書館とは異なり、とても天井が高いことです。そびえ立つ本棚は木彫りのモチーフが施してあり、デコラティブ。中にしまわれている本はもちろん革装のものもありますが、青い紙を巻かれ保護されている痛みの激しいものが目立ちます。フランス国会図書館に潜入した時もそうでしたが、歴史的にも価値のあるような書物があまり手入れされていない印象を受けます。なぜなのか理由を聞くと、修復すべき本の数が膨大すぎて手が付けられないのだそう。いやはや、革装がおなじみすぎて、私たち日本人とは価値観が少しちがうのでしょうか。
アランソンの図書館では過去に自ら所蔵の写本の展覧会も行ったそうで、ポスターやポストカードが入り口にやる気がなさそうに売られていました。
ぜひその9世紀の写本を見せてくれ、と友人を介して司書の方に頼んでもらいましたが、「一般公開していないし、見せるとしても手続きが必要になるので、すぐには見せられません。」と断られてしまいました。はるばる遠いアジアの国から来たんですよビームも虚しく、お役所対応とともに一筋の希望も切り捨てられてしまいました。
ほかのものはなんでも見ていいですよ、と言われましたが、写本を見るモード全開になっていた私には、もはや棚にびっしり並んでいる本はどれも同じオブジェに見えるだけで、司書の方にメルシーを言って図書館をあとにしたのでした。
石造りの建物という外観があり、木彫りのモチーフのある本棚という器があって、そこにルリユールが収まっている、という構図は、とある街の小さな図書館でさえも見事に調和がとれています。
日本にルリユールのある生活を当たり前なものにするには、まずはコンクリートの建物から見直す必要があるのでしょうか・・・。
つづく・・・。
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