梅雨が明けたと思ったら、ココロの準備もできないままに、夏本番になってしまいました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回のミラクルワールドは机を離れて、エクスカーションに出かけてきました。
お邪魔したのは、わたくしどもフラグムが大変お世話になっております、小酒井英一郎氏が取締役を務められております研究社印刷株式会社です。
過去に使われていた活字の数々も保管されていて、左右両面にずらっとある活字の棚の真ん中を歩いて行くと、目に見えない職人たちが今でもなんだかんだ言いながら作業をしているかのようです。
活字を拾う担当者には各自のテリトリーが与えられています。自分の前に位置する棚には頻度の高い文字が並べられています。そして隣り合う同僚との間にはあまり頻度の高くない文字が置かれている棚があり、そこにある文字は共同で使います。その棚は、自分のテリトリーから離れて「盗んで」使うということから、「泥棒」と名付けられていました。
そして欧文の活字も保管されていました。
Garamondをはじめ、Futura、Baskerville、Goudy、Gill Sans、Clarendonなど、おなじみの顔がありました。
次に、お仕事中とは知りながら、工場内も覗き見させていただきました。
切断される前の出来立てホヤホヤの印刷物が積まれている中、紙面に汚れがないか、またインキがきちんとついているかなどをルーペで確認している方、ズレが出てしまっているものをはじいている方がいました。はじかれた印刷された紙の山は削りたての鰹節を想わせる形状で、埋もれて寝たらさぞかし快適だろうな、なんてチラッと想像してしまいました。テヘッ。
そして、忘れてならないのは、ジョンソン博士の辞書です!
装丁はバザンのような革が使われていて、少しルレットで装飾がつけられていたようでした。明らかに修復した跡があり、今日まで大切に人々の手を渡って来たことが見て取れます。
素晴らしく状態のよいページを少しめくってみますと、印刷もさることながら、書体も美しく、揺るぎない存在感があります。なんだか書き込みのようなものがありました。
眠っている活字たちは一体何を想うのでしょうか。
復活を願うのか、隠居を望むのか・・・。
つづく。
中村美奈子様
素敵な文章と写真、拝見しました。ありがとうございました。
1か所だけ気になった点・・・「ミスプリント」は一般に「誤植」のことを言うかと思うのですが、印刷の現場でも確かに印刷前に責了紙の赤字がちゃんと直っているか確認する作業はするものの、ルーペで誤植があるかどうか調べることはほとんどないです。ルーペで刷ったものを丹念にのぞいている場面のほとんどは、印刷中の紙の面に汚れが発生していないか、あるいは逆にインキが正常に付着していない箇所がないかを隈なく調べているところです(抜き取り検査といいます)。オフセット印刷は、活版印刷とちがって版(=インキ)と紙との関係が直接的でないので、そういった不具合が発生しやすく、何枚かおきに定期的に抜き取り検査をすることが必要とされています。
小酒井 英一郎 様
先日はふらふらとお邪魔いたしまして申し訳ございませんでした。
ご指摘ありがとうございます。
訂正いたしましたもので大丈夫でしょうか。
他に撮ったジョンソン博士の英語辞典の写真なども機会があれば載せたいと思っております。
frgm 中村