寒波が押し寄せる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
新年一発目のミラクルワールドは、真面目に17世紀の製本パート2から始めます!
なお、当初予定していた3部構成は4部構成に変更いたします。
17世紀は18世紀とならび、ルリユールが栄華を極めた時代であり、言及すべきことがたくさんあります。
本文の背の丸い形状は、endosser(backing)という丸みだし工程によるものです。
当初この作業はフランス人の製本家たちによってなされたものでした。金具のついた丸みだし用エトー(万力)が現れる18世紀後半までは、溝(mors)はカルトンに接する最初と最後のカイエそれぞれの間に先の曲がった錐のようなものを差し込んでつけられていました。
そのフランス風丸背には、膠がぬられ、ツゲなどで出来た特別な道具を使って力強くこすられました。その後、さらに背には羊皮紙が貼られ、より強靭で滑らかな表面に仕上げられました。ドリュール装飾をつけるのには理想的なしっかり背の完成です。
当時、次の工程のロニアージュをするためには、2つに切断した樽を専用プレスの補助として、つまり台にして使っていました。ディドロ・ダランベールの百科全書ではおなじみの「作業場の樽」です。樽は印刷された未綴じ本を川を越え海を渡り運搬するのにも使われていました。哲学者・ディオゲネスも住処にしていたし、樽は昔から万能アイテムだったのでしょうか・・・。
しかし、ある意味デリケートな作業であるロニアージュには不都合が多かったので、後に四つ脚があり、その間に板が渡してある箱型のporte-presseが登場しました。19世紀にエンジニアのMassicotさんが自動切断機を開発するまで、ロニアージュ専門職人は一日に10~14時間ものあいだ刃を片手に手動で小口を切りそろえていたのでした。
きれいに整えられた小口には、ルリユールする本の価値に応じて、彩色や金箔が施されました。天金(tête or, tranche or)はドリュールを行う専門職人の役割でした。紙の白い地の小口への天金、マーブルされた小口への天金、天金後に刻み模様をつける古代風小口(tranches antiquitées)などの種類がありましたが、ヴォーやバザンが使われた通常製本には決して天金はつけられることはありませんでした。なぜなら、天金はモロッコ革が使われたルリユール、つまリreliure de luxeのみの特権だったのです。
キング・オブ・ポップはマイケル・ジャクソン、キング・オブ・レザーはいつの時代もモロッコ革と決まっていたのでした。
つづく・・・。
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