なかなかポカポカした春がやってきませんが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今回のミラクルワールドは、先日見学してきましたミズノ・プリンティング・ミュージアムについてレポートしたいと思います。
ミズノプリティック株式会社の社屋6階にあるミュージアム訪問は、予約をしてからの見学でしたので、少々緊張いたしました。出迎えてくれたのは、あのグーテンベルク親方の銅像と総務部の村山智一さん。
館内に入って最初に目に飛び込んで来たものは、行儀よく並んだ手動印刷機でした。
はやる気持ちを抑えつつ、まずは大のオトナが平日の午後にふらふらと・・・と如何わしく思われないように、どこのウマの骨かを自己紹介いたしました。
その日の午前中には地元の小学生たちの訪問があったようで、かすかにヤングな熱気が残っているような感じがしました。
このミュージアムは、会長で館長でいらっしゃる水野雅生氏の個人的なコレクションが膨大になり、ご自宅に収まりきらなくなってしまったので、公に展示しようということで現在にいたるそうです。水野氏が50年をかけて蒐集した印刷にまつわるものの数々が、「早く観て!」と言わんばかりに私たちを待っているかのようでした。
村山さんは冗談を交えつつ、私たちの素朴な質問にも答えながら、「書」の始まりのひとつである粘度板からパピルス、貝多羅葉、そして古事記、日本書紀、百万塔陀羅尼経、印仏、嵯峨本へと順を追って丁寧に展示ひとつひとつを説明していってくれました。
興味深かったものは、「陰刻木版」というネガポジのように地が黒く、文字の部分が白抜きに仕上がる文書でした。
(インクが明らかに多く必要になるであろうこの方法を取ったのは何故なのか・・・と、無知な素人・私は思いました。)
そして、朝鮮活字がゴロゴロとあるコーナーへ。地方や作った人ではなく、なんと、年代によってタイプハイト(全長)が異なるのだそう。(なぜそんな事をしたのか・・・と、ズブの素人・私は思いました。)
羊皮紙に包まれたケルムスコットプレスの品々、そしていつぞや多摩美の展覧会で拝んだ我らがエリック・ギル先輩の本もオリジナルの版木とともにところ狭しと並べられていました。
ああ、なんと美しいことよ・・・。
そして、待ってました黒々と光り輝く手引き印刷機のもとへ。
イギリスのアルビオン、スタンホープなど並ぶ中、ひと際上品にたたずむハンドプレスが。
それは、なんと平野活版製造所製造の国産手引き印刷機ではないですかっ。
かねがね日本製のプレス機ってなかったのかな・・・と思っていた私ですが、はじめて国産のものに出会えました。
平野富二氏のイニシアル「H」が控えめながらも輝いていました。
活版印刷で多くの功績を残した富二さんですが、やはり造船への情熱にはかなわなかったらしく、最後は船へと戻っていかれたそうです。
みなさまもぜひ、ミズノ・プリンティング・ミュージアムへお出かけください。
お問い合わせ 03-5566-6677
mailはこちら
It‘s quite in here! Why not leave a response?