読書ノススメ・其ノ四

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Nov 15
2015
Posted in blog, miracle world by Minako at 09:00 am | No Comments »

日に日に寒くなっていく今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
年末までは頑張ってミラクルワールドを進めていきたいと思っております!
今回は読書ノススメの第4回目です。


フラグムのHP等でもおなじみの製本工房の風景は、有名なフランスのディドロ・ダランベール百科全書からお借りした挿絵です。
百科事典や百科全書と聞くと、真面目で権威的なものをイメージしますが、そんな概念が覆された1冊をご紹介します。

「西洋珍職業づくし」 ミヒャエラ・フィーザー 悠書館 2014年

この本はドイツの百科事典を元にして書かれていますが、挿絵が素朴すぎます。へたうま、ならぬ、へたへた(ごめんなさい)です。しかし、そのへたへた加減が「珍職業」のおぞましさというか、現代の私たちの生活にはすでに存在しない不慣れな奇妙さをうまい具合に醸し出しています。と、いうことはこの挿絵は、へたうま、ということになりましょうか・・・。
挿絵はここには載せられませんが、目次をご紹介します。見ただけでも「珍」です。

1.移動貸しトイレ業
2.何でも呑みます屋
3.蟻の蛹採り
4.乳母
5.大道演歌師
6.鯨骨加工職人
7.洗濯職人、小便壺清掃人
8.コーヒー嗅ぎ担当兵
9.従僕トルコ人、宮廷ムーア人、島勤めインディアン
10.炭焼き
11.蝋燭の芯切り係
12.石版印刷工
13.屑屋、古布回収業
14.ビー玉職人
15.ロザリオ職人、琥珀細工職人
16.にせ医者
17.気送郵便配達員
18.博労
19.砂売り
20.刑吏
21.輿担ぎ
22.影絵肖像画家
23.遍歴説教師
24.野蜂飼い

移動貸しトイレ業というのは、汚物を入れる桶を片手にマントを羽織った人間が移動して行っていたそうです。現在で言うなら、工事現場などに置かれている簡易トイレの人間版です。それを利用する紳士や淑女は楚々として用を足していたそうですが、挿絵にはゴキブリやら何ら得体の知れない虫がひっくり返ったりしています。ぎゃーっ。

その他、嗜好品であったコーヒーの密輸を取り締まるためのコーヒー嗅ぎ担当兵(犬の方が確実!)や、にせ医者(職業だったのか!)から、石版印刷工やロザリオ職人などよく知られた職業まで、主な仕事内容といつの時代まで存在していたかや外見的特徴などが書かれています。
改めて人間の生きることに対する力強さ(?!)に感嘆し、中世への憧れが増した読書でありました。


つづく・・・



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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