19世紀の製本について part 3

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Jun 1
2016
Posted in blog, miracle world by Minako at 09:00 am | No Comments »

早いもので、6月に突入いたしました。
今回から王政復古期です。さあ頑張ってお勉強いたしましょう。


【王政復古期のルリユール】
王政復古が第一帝政を引き継ぐと、文化の伝播塔であるお城の生活も穏やかになっていきました。
文学、哲学、歴史作品の出版や再版が愛書家の購買欲を掻き立て、ルリユールは再び盛り上がりをみせ、書棚は革命以前のような豪華な姿に戻っていきました。
そして、ルイ18世のカムバックとともに、アンピール様式やボゼリアンスタイルに次ぐ、新しい装飾を生み出す必要がありました。
19世紀の装飾スタイルの区切りは、期間としてはそれぞれ決して長くはありませんが、製本家たちのセンスや熱意は、バラティーに富んだデザインを生みました。
ル・ノルマン著「Manuel du Relieur」には、19世紀の職人たちが協会の決まりごとに縛られることなく、自分たちのやり方で自由に仕事をしていたことに言及しています。
しかし、それと同時に作業段階でいくつかの問題点も出てきました。

【問題点1】
王政復古時代のルリユールは、背の長さに沿って鉄具のついた板で本の両側を挟み、ロニアージュ用のプレスに入れて締め、金づちで最初と最後の折り丁を寝かせ、mors(みぞ)を作っていました。しかし、そのみぞがカルトンの厚みと合わずに、全体に渡って無様に見えていることが多々ありました。

faire des mors

さらに見返しの多くは、カルトンに対して小口側がとても短かいこともしばしばで、優れた製本家であっても、みぞの厚み部分を考慮せずに、本文に見返し紙を綴じつけて一緒にロニアージュしていました。

【問題点2】
表紙の下地になるカルトンは、本文のサイズにきちんと合うように正確に切り揃えられ、ロニアージュ前に丸背にした状態で本文にあてがわれました。
カルトンは常に手で切らなければばらず、紙を叩いてなめすこと同様、工房内では最も骨の折れる退屈な仕事のひとつだったようです。

お察しいたします・・・。


以上の問題点を解決してくれる救世主、丸背用万力と手動切断機シザイユの出現には、半世紀待たなければなりませんでした。


つづく



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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