19世紀の製本について part 5

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Sep 15
2017
Posted in blog, miracle world by Minako at 09:00 am | No Comments »

さて今回も製本のお勉強を進めましょう。
材料として欠かせない、「花ぎれ」「革」「マーブル紙」について駆け足でみていきます。


【花ぎれについて】
花ぎれは優雅になっていきました。
本のチリの高さに合わせて、バトネと呼ばれる紙をよったものに絹を巻きつける代わりに、薄いカルトンや羊皮紙の短冊状に切ったものを使用するようにもなりました。
普通製本には、リヨンコワフという、折り丁の端の厚みを隠す盛り上がりを作るために背の折り返し部分につけたなめらかなフィセルが採用され、とてもコストのかかる手編みの花ぎれに取って代わりました。

機械による花ぎれはコメットと呼ばれ、1840年頃登場しました。出版社相手に巻数の多い仕事を専門にしていた製本家が、手編みの花ぎれを前もって用意するために、フィセルに巻きつけ長い布の紐の際に縫い付けておいて、必要な時に本の背幅に合わせて切って貼ればいいだけにしておいたのが始まりです。

【革について】
ロマンチック期の製本に使用された革は、シボの長いモロッコ革、ヴォー、バザンやシャグランでした。
バザンやヴォーは、そのままの状態でも売られていましたが、18世紀に行われていたようなジャスペやマーブル模様に満足できない製本家は、木の根っこ模様、石目や赤い斑岩、エメラルドの砂利模様など様々な模様を施しました。

シャグランは、1835年頃出始め、普通製本に使われました。シボは丸く、製本家はポリサージュはせず、反対に装飾の空押し線を際立たせるために、本来のザラザラした表面をそのままにしておきました。
トヴナンは、丸いシボや麦状のシボをつけるために、ポメルと言うコルクの破片を使って革の表面と表面を合わせて転がすアイデアを採用しました。その方法は湿らせた革をプレスに入れて、プレートを使ってシボをつけるイギリスのやり方での仕上がりよりも断然美しいものでした。

王政復古時代の製本家たちは、二次的で経済的な製本として、半革装の有用性をよく理解していました。ロマンチック様式の半革装はヒラを覆う革の部分が全体の5分の1から6分の1で、角の革も同じ割合で狭いのが特徴的で、二重線の太いものや細いもの、空押しや箔押しがヒラに施されました。

後に、製本家たちは、モロッコ革やシボの長い革に似たタフタ織りの布であるペルカリンで表紙を覆うことを思いつきました。
この場合、本文を覆う革の部分を細い帯のように小さくし、頻繁に接合部分をバランシエで空押し線をつけてごまかしました。
トヴナンや彼のライバルの考えには、半革装で本棚から見える部分は背であり、総革装に見せかけるために、念入りにデコールを仕上げました。

【マーブル紙について】
製本家たちは、革に施されたマーブル模様の仕上がりの良さに触発され、内側の見返し紙や表紙に使う紙を自ら作りました。
でんぷんのりに混ぜた絵の具やブラシを使って、「ユニアンピール」を作ったり、ブラシの代わりにスポンジを使ってでんぷんのりに一色を混ぜて紙に斑点をつけて、「グラニテ」や「ピケアンピール」を作りました。
紙を乾かす時に、平らにするのではなく吊るして干すことにより、絵の具が流れたような模様は、「クレ・ロマンチック」として知られるようになりました。さらに何度かこの流れ始めを途中で止め、紙をひっくり返して逆の流れをつけた模様は「サントアンヌ」といいます。
また、ツヤのある紙が欲しい時は、蝋を染み込ませたウールの切れ端で紙の表面をこすり、メノウ棒で磨いて仕上げました。


次回、19世紀の最終章を飾るのは、フランス対イギリスの戦い、です。
つづく・・・。



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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